機能性神経学的症状症(変換症)
機能性神経学的症状症は、正式には「変換症/転換性障害(機能性神経症状症)」と呼ばれ、臨床では機能性神経障害(FND)という名称も使われます。手足の脱力、ふるえ、歩行困難、感覚の変化、発作、声の出にくさなどが、本人の意思とは無関係に現れる病気です。単に検査で異常がないから診断するのではなく、診察でFNDを積極的に示す陽性徴候を確認します。仮病や演技ではなく、脳が運動や感覚を調整する働きがうまく連携しにくい状態と考えられています。
特徴
FNDの症状には、筋力低下、歩行障害、ふるえ、異常な動き、しびれ、視覚・聴覚の変化、失声、嚥下のしにくさ、てんかんに似た機能性発作などがあります。例えば、注意を別の動作へ向けると動きや筋力が変化する所見は、機能が保たれている可能性を示す手がかりです。ただし、症状の変動だけで確定診断はできません。機能性発作も、発作のない時間の脳波が正常という理由だけでは診断できず、てんかんとの併存にも注意が必要です。
どんな人がなりやすいの?
FNDは年齢や性格を問わず起こり得ます。病気やけが、痛み、疲労、睡眠不足、生活環境の変化、強い緊張などが発症や悪化のきっかけになる場合がありますが、明確なストレスやトラウマがない人もいます。「責任感が強い人」「感情を我慢する人」に限られる病気ではありません。解離症、不安症、うつ病を併存する事例もありますが、精神疾患の存在は診断の必須条件ではありません。
どうしたらいいの?
突然の片側の麻痺、言葉の出にくさ、初めてのけいれん様発作、意識障害があれば、FNDと自己判断せず救急医療で脳卒中やてんかんなどを確認します。診断後は脳神経内科を中心に、必要に応じて精神科やリハビリ職が連携します。治療プログラムの目的は、症状の仕組みを理解し、自然な動作や生活機能を再学習することです。内容は理学療法・作業療法・言語療法、機能性発作に対する心理療法、併存症の治療などです。服薬は自己判断で中止しないでください。
まとめ
「異常なし」「気の持ちよう」で終わらせず、陽性徴候を本人と家族へ分かりやすく説明し、症状に合った支援を早く始めることが重要です。例えば歩行障害の事例では、力を入れ続ける練習ではなく、リズムや自動的な動きを利用して歩行を再学習します。学校や職場では、全面的な活動停止を続けるのではなく、安全を確認しながら通学・勤務時間や業務内容を段階的に調整します。改善の程度や速度には個人差があるため、具体的な目標を医療者と共有してください。
こころの不調
からだの不調
行動面の不調