公開アイコン公開: 更新アイコン更新:

異食症

目次

異食症とは、土、紙、布、毛髪、石けんなど、通常は食べ物として扱われない物を繰り返し食べる状態です。代表的な診断基準では、行動が1か月以上続き、発達段階に合わず、文化・宗教上の慣習でもないことを確認します。乳幼児が物を口に入れて確かめる行動や、一度だけの誤飲、食べ物の好き嫌いとは区別が必要です。異食症は子どもだけでなく、大人や妊娠中の人にもみられます。本人の意思の弱さによるものではなく、身体状態、発達特性、心理状態、生活環境を総合的に評価することが重要です。

特徴

異食の対象は、土や粘土、紙、チョーク、布、毛髪、塗料片などさまざまです。氷を繰り返し大量に食べる氷食症が含まれることもあります。注意点は、便秘、腸閉塞、消化管の傷、寄生虫感染、鉛中毒、歯の損傷などを起こす可能性があることです。腹痛、繰り返す嘔吐、血便、呼吸困難、意識の変化がある場合は早急な診察が必要です。ボタン電池、複数の磁石、鋭い物を飲み込んだ可能性がある場合は、症状がなくても直ちに救急外来などの医療機関へ相談してください。

どんな人がなりやすいの?

異食症は、食べ物と食べ物ではない物を区別できる年齢の子ども、妊娠中の人、鉄欠乏がある人などにみられます。ただし、鉄や亜鉛の不足だけが原因と決まっているわけではありません。

自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害や知的発達の遅れがある場合には、感覚刺激を求める行動や危険性を理解する難しさが関係することがあります。強いストレスや別の精神疾患に伴う場合もあるため、「変わった癖」「しつけ不足」と決めつけず、異食が起こる場面と背景を確認することが大切です。

どうしたらいいの?

異食に気づいたら、何を、どれくらい、いつ食べたかを確認し、自己判断で吐かせず、小児科・内科または救急外来へ相談してください。繰り返す場合は、食べた物に応じて血算、鉄・フェリチン、鉛濃度、電解質、画像検査などを検討します。治療の目的は、身体合併症を防ぎ、異食が起こる背景を整えることです。支援プログラムでは、行動の前後を記録し、危険物への接触を減らす、安全な代替行動を用意する、望ましい行動を具体的に認めるなどの内容を個別に組み合わせます。異食症そのものに対する特効薬は確立していません。

まとめ

異食症への対応を成功させるポイントは、強く叱って行動だけを止めようとせず、身体の安全確認と原因・きっかけの整理を同時に進めることです。例えば、退屈な時間に紙を食べる事例では、紙類を管理し、安全性を確認した代替活動を準備したうえで、異食せず過ごせた行動を具体的に認めます。毛を抜いた後に飲み込む場合は、トリコチロマニア(抜毛症)との関係や、胃に毛髪がたまる危険も評価します。異食が続く場合は、内科・小児科と精神科・心療内科などが連携して支援することが大切です。