聴覚過敏
聴覚過敏とは、周囲の音が実際以上に大きく、鋭く、不快に感じられる状態を指します。難聴が「音が小さく聞こえる」状態であるのに対し、聴覚過敏は「音が強く響きすぎる」ことが問題になります。脳が音の刺激をうまく調整できないことで生じると考えられています。
単なる気のせいではなく、感覚情報の処理の特性によるものです。特定の音だけを嫌う「音嫌悪症」とは異なり、多くの生活音がつらくなることが特徴です。
特徴
掃除機や電車の走行音、教室のざわめき、食器の触れ合う音など、日常的な音が強烈に感じられます。音が割れて聞こえたり、反響したりすることもあります。不快感だけでなく、強い緊張や恐怖、怒りを伴う場合もあります。長時間さらされると疲労、頭痛、集中力低下を引き起こします。
学校や職場で「音が気になって勉強や仕事に集中できない」といった困りごとにつながることも少なくありません。
どんな人がなりやすいの?
自閉スペクトラム症のある方には比較的多くみられます。感覚刺激の処理に特性があるためです。また、不安障害、パニック障害、うつ状態などでも一時的に音への敏感さが強まることがあります。強いストレスや睡眠不足も悪化要因です。
聴力検査では正常であることが多いため、「異常がない」と言われて孤立感を抱くこともありますが、感じ方の問題として医学的に理解されています。
どうしたらいいの?
まず耳鼻科で器質的な異常がないか確認します。その後、環境調整が基本となります。ノイズキャンセリング機器や耳栓は有効ですが、常時使用すると音への耐性が低下することがあるため、必要な場面に限定する工夫が大切です。
不安が背景にある場合は抗うつ薬が有効なことがあり、自閉スペクトラム症に伴う場合は少量の抗精神病薬が役立つこともあります。
学校や職場で席の配置変更など合理的配慮を受けることも重要です。
まとめ
聴覚過敏は、脳の感覚処理の特性によって音が過度に強く感じられる状態です。本人にとっては現実的で切実な苦痛であり、我慢の問題ではありません。適切な評価、環境調整、必要に応じた治療や配慮によって症状は軽減できます。
一人で抱え込まず、医療機関や学校・職場の支援者に相談することが、安心して生活するための第一歩となります。
行動面の不調
こころの不調
からだの不調