自閉スペクトラム症(ASD)
- 人づきあいがしんどく感じる
- 集中力が続かなくて困る
- やる気がわかない日がある
- 夜うまく眠れない
- 人と話すときに緊張する
- 感情の波がつらいとき
- 物忘れが増えた、気になる
- 会社や学校に行きたくても行けない日がある
- 集中できずうっかりミスが増える
- 戸締りや火の元が気になることが多い
「人との会話がかみ合わないことが多い」「職場の人間関係で繰り返し悩んでしまう」「周囲と同じようにできず生きづらさを感じる」
―その背景には、自閉スペクトラム症(ASD)の特性が関係しているかもしれません
発達障害には、主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。
この中の自閉スペクトラム症(ASD)は、対人コミュニケーションや社会的なやり取りに特徴がみられ、限定的な興味やこだわり、感覚の過敏さ・鈍麻などを伴う発達障害です。 近年では子どもだけでなく、大人になってから診断されるケースも増えており、仕事や日常生活の困りごとをきっかけに受診する方も少なくありません。
この記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の原因や症状、診断・治療法について詳しく解説します。また、大人になってから気づくケースや受診の目安についても分かりやすく紹介します。ご自身やご家族の特性について理解を深めるための参考として、ぜひ最後までご覧ください。
自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、生まれつきの脳の発達特性によって、対人コミュニケーションや社会的なやり取り、興味・関心の持ち方、感覚の受け取り方などに特徴がみられる神経発達症(一般的には発達障害と呼ばれることもあります)です。
DSM-5では、「社会的コミュニケーション・対人相互反応の困難」と「限定された反復的な行動や興味」の2つを中核症状として定義しています。
「スペクトラム(連続体)」という名称が示すように、特性の現れ方や生活への影響は人それぞれです。会話や人間関係で困りやすい方もいれば、興味のある分野では高い集中力を発揮する方もいます。
また、音や光、匂い、肌触りなどに対する感覚過敏や、反対に痛みや温度変化を感じにくい感覚鈍麻を伴うこともあります。近年では、子どもの頃は目立たなかった特性が就職や結婚、昇進などを契機に表面化し、「大人のASD」として診断されるケースも増えています。
自閉スペクトラム症(ASD)の原因
ASDの原因は完全には解明されていませんが、現在では遺伝的要因と脳の発達過程における神経ネットワークの形成・機能の違いが複雑に関与すると考えられています。
一つの遺伝子だけが原因ではなく、多数の遺伝的要因に加え、胎児期や出生前後のさまざまな生物学的要因が複雑に関与すると考えられています。なお、「親の育て方」や「愛情不足」が原因ではないことが明らかになっています。
また、ASDでは情報を整理する方法や注意の向け方、相手の意図を推測する認知の仕方に特徴があることが知られています。そのため、曖昧な指示を理解しにくかったり、予定変更への対応に強い負担を感じたりすることがあります。なお、「親の育て方」や「愛情不足」が原因という考え方は医学的に否定されています。ASDは本人や家族の責任ではなく、生まれ持った神経発達の特性です。
参考:https://hattatsu.go.jp/supporter/healthcare_health/about-asd-2/
自閉スペクトラム症(ASD)の症状
ASDの症状は、「社会的コミュニケーションの困難」と「限定された興味・反復行動」の2つに大きく分けられます。例えば、相手の表情や言葉の裏にある意図を読み取ることが苦手、曖昧な表現を文字どおり受け取ってしまう、自分の興味がある話題を一方的に話してしまうといった特徴がみられます。また、決まった手順への強いこだわりや予定変更への苦手意識、特定分野への深い関心も代表的な特性です。
大人では、「職場の暗黙のルールが理解しづらい」「優先順位を付けることが苦手」「報告・連絡・相談のタイミングが分からない」「複数の業務を同時進行すると混乱する」などの困りごととして現れることがあります。
さらに、周囲に合わせようとして自分の特性を隠し続ける「マスキング」による精神的負担や、失敗体験の積み重ねから、うつ病、不安症、適応障害、不眠症などの二次障害を発症することも少なくありません。そのため、ASDの特性だけでなく、現在の心身の状態についても適切に評価することが重要です。
自閉スペクトラム症(ASD)の治療法
ASDでは、特性そのものを「治す」ことではなく、本人が生活しやすい環境を整え、困りごとを減らすことを目的に支援を行います。まずは心理教育を通じて、自分の得意・不得意やストレスを感じやすい状況を理解し、自分に合った対処法を身につけることが大切です。
必要に応じて、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行い、コミュニケーションや対人場面での対応方法を学びます。また、不安症や抑うつ症状などを伴う場合には、認知行動療法などの精神療法を取り入れることもあります。
また、職場では業務内容を口頭だけでなく文書でも伝える、業務を細分化して優先順位を明確にする、スケジュールを可視化する、静かな席へ配置するなど、一人ひとりの特性に応じた合理的配慮によって働きやすさが大きく改善することがあります。
なお、ASD自体に有効な薬はありませんが、不安や抑うつ、不眠などの二次障害がある場合には、それらに対する薬物療法を組み合わせて治療を行います。
自閉スペクトラム症(ASD)に関するよくある質問
ASDは大人になってから診断されることがありますか?
あります。幼少期は学業成績に問題がなく、周囲に合わせることができていても、就職や昇進、結婚など社会的な役割が増えることで困難が目立ち、大人になって初めて診断されるケースは珍しくありません。特に職場でのコミュニケーションや人間関係をきっかけに受診する方が増えています。
ASDは治りますか?
ASDは生まれつきの神経発達の特性であり、病気のように完全に治るものではありません。しかし、自分の特性を理解し、適切な支援や環境調整を受けることで、生活や仕事で感じる困りごとは大きく軽減できます。ASDは能力の高さや低さを示すものではなく、特性に合った環境では十分に力を発揮できる方も多くいます。
受診した方がよい目安はありますか?
人間関係のトラブルを繰り返す、仕事が長続きしない、生きづらさが続いている、不安や抑うつ、不眠などの症状がある場合は、一度精神科や心療内科、発達外来へ相談することをおすすめします。早めに相談することで、自分に合った支援や治療につながり、二次障害の予防にもつながります。
診断はどのように行われますか?
ASDの診断は、現在の症状だけでなく、幼少期からの発達歴や学校生活、家庭・職場での様子などを総合的に評価して行います。
必要に応じて心理検査を実施することもありますが、心理検査は診断を補助するものであり、検査結果だけで診断が決まるわけではありません。医師が発達歴や現在の症状、生活への影響などを総合的に評価して診断します。可能であれば家族から幼少期の様子を確認することも診断の参考になります。
ASDとADHDの違いは何ですか?
ASDはコミュニケーションや対人関係、こだわり行動に特徴がある神経発達症です。一方、ADHDは不注意、多動性、衝動性が中心となります。ただし両者は併存することも多く、症状だけで自己判断することは困難です。正確な診断には専門医による評価を受けることが重要です。
まとめ
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人コミュニケーションや興味・関心の持ち方に特徴がみられる発達障害です。
特性そのものは神経発達の違いによるものであり、本人の努力不足や性格の問題ではありません。 一方で、自分の特性に気付かないまま無理を続けると、職場や学校での不適応、人間関係のストレス、うつ病や不安障害などの二次障害につながることがあります。
「人付き合いが極端に苦手」「仕事のミスを繰り返してしまう」「周囲と同じようにできず苦しい」と感じている場合は、一人で抱え込まず専門医へ相談することが大切です。
渋谷365メンタルクリニックでは、ASDの診断だけでなく、現在抱えている困りごとの整理や対処法の提案、必要に応じた治療や支援制度の案内まで総合的なサポートを受けることができます。
早期に相談することで生きづらさを軽減できる可能性がありますので、気になる症状がある方は一度受診を検討してみてください。
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