デモラリゼーション
デモラリゼーションとは、病気や喪失、学業・仕事の行き詰まりなど、自分だけでは解決しにくい状況が続くなかで、「どう対処すればよいかわからない」「自分には乗り越えられない」と感じ、無力感や絶望感、人生の意味・目的の喪失が強まる状態を示す臨床概念です。単なるやる気不足や独立した病名ではありません。
困難の内容、生活への影響、安全性を整理し、うつ病や適応障害などとの違い・併存を確認して、必要な支援につなげることが必要です。
特徴
デモラリゼーションの特徴は、気分がつらいことだけでなく、「何をすれば状況が変わるのかわからない」「自分には実行する力がない」と感じる対処不能感です。希望、自信、役割、将来の方向を失ったように感じ、相談や必要な手続きを避けることもあります。事例として、病気と進路の問題が重なり、選択肢を考えられず、学校との連絡まで止めてしまうケースが挙げられます。
うつ病とは異なる概念ですが、興味の低下、不眠、食欲変化などを伴って重なることもあり、自己判断での区別はできません。
どんな人がなりやすいの?
デモラリゼーションは、心が弱い人や責任感が強い人だけに起こるものではありません。長引く病気や痛み、介護、死別、経済的不安、いじめ、受験・就職の行き詰まりなど、本人の努力だけでは解決しにくい問題が重なると生じやすくなります。相談相手が少ない、利用できる制度がわからない、不眠や強い不安が続くといった状況も負担を深めます。
大切な人との死別後に苦痛が長期化している場合は遷延性悲嘆症、不安が生活全体へ広がっている場合は不安症(不安障害)も含めた評価が必要です。
どうしたらいいの?
まず、困りごとを「安全や生活のため今すぐ対応すること」「誰かの協力があれば進められること」「今は変えられないこと」に分けて整理します。
支援プログラムの内容は、安全性の確認、学業・仕事・生活上の調整、利用できる医療・福祉制度や相談先の確認、本人の価値観を尊重した心理的支援などです。デモラリゼーション自体へ一律に薬を用いるのではなく、うつ病や睡眠障害などが併存するときに、その状態に応じて検討します。支援を成功に近づける注意点は、前向きさや目標達成を急がせず、本人だけに解決を任せないことです。
まとめ
デモラリゼーションは、困難へ対処する道筋や、自分の役割・人生の意味を見失った状態であり、甘えや意志の弱さではありません。一方、正式な診断名ではなく、すべての失望や無力感が治療を必要とするわけでもありません。
不眠、食欲低下、強い不安、通学・通勤ができない状態が続く場合は、うつ病や適応障害を含めて精神科・心療内科へ相談してください。
「生きる意味がない」という言葉だけで自殺意思は断定できませんが、死にたい気持ち、具体的な計画、自傷がある場合は一人にせず、通常の予約を待たず早急に医療機関へつなぐ必要があります。
こころの不調