病識欠如
病識とは、「自分が病気である」「治療が必要である」と理解する力のことです。病識欠如は、その理解が十分に持てない状態を指します。
特に統合失調症でよくみられ、治療の開始や継続が難しくなり、再発の原因となることがあります。ただし、これは単なる頑固さや性格の問題ではありません。症状そのものの影響や、脳の前頭葉機能の変化、心理的な防衛反応などが関係しています。また、病識は「ある・ない」の二択ではなく、段階的に変化するものです。
特徴
病識欠如にはいくつかのタイプがあります。
- 症状そのものを異常と認めない場合(例:幻聴を現実と確信している)
- 症状は認めるが自分は病気ではないと考える場合
- 病気かもしれないが治療は不要と考える場合
などです。
妄想の影響で「おかしいのは周囲だ」と強く信じることもあります。また、脳の前頭葉機能の低下により、自分の状態を客観的に振り返る力(メタ認知)が弱まることも関係します。これは医学的に説明できる現象です。
どんな人がなりやすいの?
統合失調症の急性期や再発時に特にみられやすいとされています。症状が強いほど、自分の変化を客観視することが難しくなります。
発症が若年期である場合、「自分は健康である」という自己イメージを修正すること自体が大きな心理的負担となります。また、病気への偏見や恐れが強い社会環境も、否認を強める要因になります。重要なのは、これは意図的な拒否ではなく、病状の一部として起こる可能性があるという点です。
どうしたらいいの?
強く説得したり、「病気だと認めなさい」と迫ることは、関係性を悪化させる可能性があります。まずは本人が困っている具体的な症状(不眠、不安、集中困難など)から支援を始めることが有効です。
医療者は症状を和らげながら、徐々に理解を深めていきます。家族は否定や批判を避け、「安全」「安心」を保つ関わりを意識してください。治療が中断しそうなときは、早めに医療機関へ相談することが再発予防につながります。
ご本人がどうしても受診を拒否される場合は、まずはご家族の方だけでご相談いただくことも可能です。ご本人への接し方や受診への繋げ方について、専門の心理士によるカウンセリングについてもご案内しておりますので、一人で抱え込まずにお声がけください。
まとめ
病識欠如は、自分の病気を十分に認識できない状態で、特に統合失調症でみられます。性格の問題ではなく、症状や脳機能、心理的要因が複雑に関係する医学的な現象です。
病識は段階的に変化し、治療と信頼関係の中で改善する可能性があります。本人を責めるのではなく、安心できる環境で支えることが回復の基盤となります。早期の継続的な支援が、再発予防と安定につながります。
『病院に行きたくない』とご本人が外出を渋るケースでも、ご自宅からスマートフォンなどで受診できるオンライン診療をご利用いただくことで、リラックスして医師とお話しいただける場合があります。
当院での受診やご相談をご検討の際は、診療案内(初めての方へ)をご覧の上、LINEまたはWEBよりご予約ください。
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