自己視線恐怖
自己視線恐怖とは、「自分の視線が相手を不快にさせてしまうのではないか」「攻撃的・いやらしい目つきだと思われるのではないか」と強く感じ、人と向き合うことが怖くなる状態を指します。
思春期に生じやすく、思春期妄想症の一つとして扱われることがあります。 これは単なる“気にしすぎ”ではなく、対人関係に敏感になりやすい時期の心理的背景や、不安の強さが影響して起こるものです。
本人にとっては現実感のある恐怖であり、「気のせい」と済ませられないつらさがあります。
特徴
自己視線恐怖では、「きつい目で見ていると思われていないか」「睨んでいると誤解されないか」という不安が続き、人と視線を合わせることが苦痛になります。
さらに、「胸元を見てしまっていないか」「色目を使っていると思われないか」といった性的な意味づけを恐れる場合は“色目恐怖”と呼ばれます。 不安が強くなると、人前で緊張が続く、授業や会話がつらくなる、対人場面を避けてしまうといった影響が出ることもあります。
妄想的な信念が強い場合は統合失調症に近い理解が必要となり、不安中心なら社交不安症に近い状態として捉えられることがあります。
どんな人がなりやすいの?
思春期や青年期のように、「人からどう見られているか」を強く意識しやすい時期に起こりやすい傾向があります。
まじめで、人に迷惑をかけたくない、人を傷つけたくないという気持ちが強い人、自分を厳しく評価してしまう人は特に不安を抱えやすくなります。 また、過去に「目つきが怖い」などと指摘された経験が影響することもあります。
ただし、これは性格の弱さや甘えではありません。 むしろ、人との関係を真剣に考えられる繊細さや感受性が背景にある現象と理解することが大切です。
どうしたらいいの?
まず、「自分の視線が危険だから怖い」のではなく、「不安が強いから怖く感じる」という仕組みを理解することが安心につながります。
一人で我慢せず、保護者・学校の先生・スクールカウンセラー・医療機関などに相談することが重要です。 医師の評価を受けることで、妄想性が強いのか、不安中心なのかを整理でき、適切な治療や心理支援につながります。
日常では、
- 視線を無理に合わせようとせず、鼻筋や眉間など“顔の近く”を見る
- 安心できる場面から少しずつ人とのやり取りに慣れていく
- 「相手を不快にしている」という考えが自動的に浮かぶ仕組みを一緒に整理する
といった工夫が役立つことがあります。
まとめ
自己視線恐怖は、「自分の視線が相手を傷つけてしまうのでは」と強い不安を感じ、人付き合いがつらくなる状態です。 統合失調症に近いケースもあれば、社交不安症に近いケースもあり、適切な理解と専門的サポートが重要です。
本人の努力不足ではなく、心が繊細で他者を大切に思うからこそ生まれる苦しみでもあります。 一人で抱え込まず、相談することは弱さではなく、自分を守る大切な行動です。
支援と理解があれば、安心して人と関われるようになる道は必ずあります。
こころの不調
行動面の不調