社会的語用論的コミュニケーション症
社会的語用論的コミュニケーション症とは、言葉そのものの理解や発話は年齢相応にできるにもかかわらず、「状況に応じた言葉の使い方(語用論)」に困難が生じる発達障害の一つです。語用論とは、言葉の辞書的な意味ではなく、「誰に、どの場面で、どのように使うか」という社会的な使い方を指します。
たとえば、遠回しな依頼の意図を読み取る、話題を共有する、会話の順番を守るといった力が含まれます。
知的能力の問題ではなく、対人場面での調整力に特性がある状態です。
特徴
具体的には、比喩や冗談、皮肉、同音異義語、指示代名詞の理解が難しいことがあります。たとえば「その件、考えておきますね」という曖昧な返答を文字通りに受け取ってしまうことがあります。また、
- 敬語とため口の切り替えがうまくいかない
- 話が一方的になりやすい
- 相槌や表情の変化が少ない
といった特徴もみられます。文章読解力が高くても、「行間を読む」ことに苦手さがある場合があります。表面的には流暢に話せるため、周囲から誤解されやすい点も重要な特徴です。
どんな人がなりやすいの?
幼少期から「話はよくできるのに、友人関係が続きにくい」「失礼と言われるが理由が分からない」といった経験がある人にみられることがあります。
自閉スペクトラム症と似た特徴がありますが、本症では強いこだわりや反復行動が目立たない点が区別されます。学生時代は学力でカバーできても、大学や職場など対人関係が複雑になる場面で困難が目立つことがあります。努力不足や性格の問題ではなく、発達特性によるものです。
どうしたらいいの?
まず、自分や周囲が「わざとではない」と理解することが重要です。具体的な場面を振り返り、「相手は何を期待していたのか」を言語化して整理する練習が有効です。曖昧な指示は確認する、話題の区切りを意識するなど、具体的な工夫を積み重ねます。ソーシャルスキルトレーニング(SST)は実践的に役立ちます。
対人関係のトラブルが繰り返される、強い孤立感や抑うつが続く場合は、精神科や発達外来で相談してください。評価を受けることで、適切な支援策が明確になります。
まとめ
社会的語用論的コミュニケーション症は、言語能力そのものではなく、「社会的な使い方」に困難がある発達障害です。冗談や行間の理解、敬語の使い分けなどでつまずきやすい特徴があります。
誤解されやすい特性ですが、適切な理解と具体的な支援によって対人関係の負担は大きく軽減できます。自分の特性を知ることは弱さではなく、よりよいコミュニケーション方法を見つけるための大切な第一歩です。
行動面の不調
こころの不調
からだの不調