身体表現性障害(身体症状症)
身体表現性障害は、現在の診断基準(DSM-5)では「身体症状症」と呼ばれています。これは、明確な身体疾患で十分に説明できない身体症状が続き、その症状への強い不安やとらわれが生活に支障をもたらしている状態を指します。
重要なのは「症状があるかどうか」だけでなく、「その症状についてどれほど強く心配し、考え続けてしまうか」という点です。症状は決して想像や演技ではなく、脳と体の働きが影響し合って実際に感じられるものです。
特徴
吐き気、腹部の張り、頭痛、めまい、しびれ、強い倦怠感、慢性的な痛みなど、症状は多岐にわたります。複数の部位に症状が出ることもあります。背景にはいくつかのタイプが含まれ、体のあちこちに症状が出る「身体化」、ストレスに反応して運動や感覚の障害が出る「機能性神経学的症状症」、原因の特定が難しい慢性疼痛、病気への強い不安が続く状態などが含まれます。
検査で異常が見つからないことが、かえって不安を強める場合もあります。
どんな人がなりやすいの?
強いストレス環境にある人、不安傾向が強い人、責任感が強く感情を内側にため込みやすい人に多くみられます。思春期や青年期は環境変化が多く、心の負担が体の症状として表れやすい時期です。また、過去に大きなストレス体験やトラウマがある場合も関連することがあります。
これは「弱さ」ではなく、ストレスに対する心身の反応の一つです。脳の痛みや不安を感じ取る回路が過敏になっている状態とも説明できます。
どうしたらいいの?
まずは内科などで適切な検査を受け、重大な身体疾患がないことを確認します。そのうえで、必要以上に検査を繰り返すのではなく、信頼できる医師のもとで継続的に経過をみることが重要です。
治療には、認知行動療法などで症状へのとらわれを和らげる方法や、抗うつ薬が用いられることがあります。生活リズムを整え、軽い運動を取り入れることも有効です。
「症状をゼロにする」よりも「生活の質を上げる」視点が回復につながります。
まとめ
身体症状症は、身体症状そのものだけでなく、その症状への強い不安やとらわれが生活に影響している状態です。症状は実際に感じられるものであり、決して想像ではありません。
心と体の相互作用を理解し、適切な医療と心理的支援を受けることで改善が期待できます。焦らず継続的に取り組むことが大切です。早めに相談し、安心できる医療体制を整えることが回復への第一歩となります。
行動面の不調
こころの不調
からだの不調