動因喪失症候群
- 不安が続いてつらいとき
- 人づきあいがしんどく感じる
- すぐ疲れてしまう感じがある
- やる気がわかない日がある
- 気持ちが沈んでしまう
- 物忘れが増えた、気になる
- 集中力が続かなくて困る
- 集中できずうっかりミスが増える
動因喪失症候群(どういんそうしつしょうこうぐん)とは、大麻や有機溶剤(シンナーなど)、市販の咳止め薬といった薬物の使用によって引き起こされる、意欲や感情、集中力などが長期的に低下する状態のことです。
特に大麻の長期使用者に見られることから注目されましたが、他の薬物でも発症することが知られています。長期間の使用が原因になるケースが多い一方、短期間でも始まる場合があります。これは薬物の影響が一過性ではなく、脳の機能に持続的な変化をもたらす「遷延性(せんえんせい)」の障害であるためです。日常生活の活力が失われ、学業や仕事、対人関係にまで広く影響を及ぼす可能性があります。
特徴
主な症状は、強い無気力や意欲の低下です。これまで楽しめていた趣味や友人との交流にも関心が持てなくなり、「何をしても楽しくない」と感じることが増えます。感情表現が乏しくなり、周囲から「冷めた」「反応が鈍い」と見られることもあります。
加えて、注意力・集中力が続かず、記憶力が落ちるといった認知機能の低下が起こります。例えば、授業や会議に出ても内容が頭に入らない、簡単な作業でも集中できないといった状態です。これらの症状は統合失調症の「陰性症状(感情や意欲の減退)」とよく似ており、単なる性格の変化や怠けと誤解されやすい点が問題です。
どんな人がなりやすいの?
大麻や有機溶剤、市販薬を習慣的に使用している人に多く見られます。特に10代〜20代の若年期は、脳が発達途上にあるため、薬物の影響を受けやすく、発症しやすい傾向があります。ストレスや現実逃避、仲間内の軽い誘いから始めるケースも少なくありません。
「少しだけだから大丈夫」と思っていても、短期間で症状が出ることもあります。また、ネット情報やSNSで「大麻は安全」といった誤った情報に触れることも、リスクを高める要因です。本人の脳の状態だけでなく、周囲の環境や心理的背景も発症に深く関わっています。
どうしたらいいの?
最も大切なのは、薬物の使用を完全にやめることです。使用を続ける限り、脳の機能変化は進行する可能性があります。治療では、抗うつ薬や活性を高めるタイプの抗精神病薬が使われることがありますが、回復には時間がかかることも少なくありません。そのため、早期の対応が重要です。
受診先としては、精神科や依存症専門の医療機関が適しています。また、家族や学校、職場が一緒に支えることも欠かせません。例えば、依存症相談窓口や地域の精神保健センターに相談することから始めるのも有効です。症状に気づいた時点で適切な支援を受ければ、回復の道はしっかりと開くことでしょう。
まとめ
動因喪失症候群は、薬物の使用によって脳の働きが変化し、意欲や感情、集中力などが長期的に低下する状態です。「怠けているだけ」と誤解されがちですが、実際には医学的な障害です。
短期間の使用でも発症する可能性があり、早期に気づき、薬物の使用をやめ、専門的な支援を受けることが何よりも大切です。もし自分や身近な人に「以前より無気力」「何にも関心が持てない」といった変化が見られたら、まずは相談窓口や医療機関に一歩踏み出してみましょう。気づいた段階での対応でも決して遅くはありません。適切な支援を受けることで、再び日常生活や社会とのつながりを取り戻すことが可能です。
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