異食症
異食症とは、本来“食べ物ではないもの”を繰り返し口にしてしまう状態を指します。
単なる「好奇心」や「一度の出来事」ではなく、行動が続き、本人の健康や命に危険を及ぼす可能性があることから、医学的に重要な症状として扱われます。
原因は一つではなく、発達の問題、認知機能の低下、精神疾患、栄養状態など、心と体の複合的な要因が関係します。
つまり、「意志が弱い」「悪い癖」といった問題ではなく、治療や支援の対象となる“医療的に理解すべき症状”です。
特徴
異食症では、明らかに食べ物ではないものを“食べる対象”として扱ってしまいます。
ティッシュ・布・ゴム・ビニール・コイン・磁石・電池・針金・たばこ・排泄物など、危険性の高いものが含まれることも少なくありません。
さらに、
- 土や粘土 → 土食症
- 洗濯のり・コーンスターチ → デンプン食症
- 抜いた髪を食べる → 食毛症
- 鉄欠乏が背景 → 氷食症
など、特定の型が見られることもあります。
摂取する物によっては、感染症・中毒・内臓障害・腸閉塞を引き起こし、場合によっては手術が必要になることもあります。
「珍しい行動」と片づけられない、重大な健康リスクを伴う症状です。
どんな人がなりやすいの?
異食症は、特定の性格の問題ではありません。
よく見られる背景としては、
- 子どもや知的発達症の人で「危険・非食物」の理解が未熟な場合
- 認知症などで判断力が低下している場合
- 統合失調症などで妄想・不安が行動に影響している場合
- 鉄欠乏や栄養不良が身体的に関係している場合
などがあります。
つまり、「なぜこんなことをするの?」ではなく、「なぜそうせざるを得ない状態になっているのか」という視点で理解することが重要です。
罰や叱責で解決する問題ではなく、原因に合わせた医療性アプローチが必要になります。
どうしたらいいの?
まず大切なのは、危険な異食を“様子見”にしないことです。
とくに次のものを飲み込んだ疑いがある場合は、緊急受診が必要です。
- 電池
- 磁石
- 金属や鋭利なもの
- 大量の不明物質
受診先としては、内科・小児科・救急、状況により精神科も併用します。
その後は、
- 身体の状態チェック(特に鉄欠乏・栄養状態)
- 発達・認知機能の評価
- 精神科的評価
を組み合わせ、原因に沿ったサポートを行います。
安全を確保しつつ、医療につなげる姿勢が重要です。
まとめ
異食症は、「食べ物ではないものを食べてしまう行動が続く」状態であり、本人の意志や性格の問題ではなく、医学的な支援が必要な症状です。
背景には、発達・認知・精神・栄養などさまざまな要因が関係しており、適切な評価と治療によって改善が目指せます。
危険を伴う症状だからこそ、一人で抱え込まず、早めに医療機関や専門家につながることが大切です。
「気づいた時点が、守る一歩」です。
安心して相談できる環境につながることで、安全と回復への道が開かれていきます。
行動面の不調