神経性オルトレキシア
神経性オルトレキシアとは、「健康に良い食事」を求める気持ちが極端に強くなり、食事内容・食品の安全性・栄養の“純度”に過剰なこだわりや不安を抱えてしまう状態を指します。
防腐剤や添加物、加工食品、砂糖、脂肪などを強く恐れ、「少量でも絶対に危険」と感じてしまうことがあります。
一見すると「健康意識が高い」と見られやすいのですが、実際には心身の健康を損ねてしまう可能性があり、近年、摂食障害の一つとして専門家の間で注目されています。
まだ正式診断として確立してはいませんが、医療的に支援が必要な重要なテーマです。
特徴
神経性オルトレキシアの人は、「何を食べるか」だけでなく「どう入手し、どう調理し、どの栄養が入っているか」まで強く気にします。
具体的には、
- 少量の添加物や農薬でも強い不安を感じる
- 加工食品や外食を極端に避ける
- “完璧な食材”を選ぶために過剰な時間やお金を使う
- 食べられる食品がどんどん減り、日常生活に支障が出る
といった形で表れます。
その結果、「健康のための行動」がいつの間にか心の負担となり、食事が“快適な習慣”ではなく“緊張や恐怖を伴う行為”になってしまうことがあり、栄養不足や社会生活の制限につながることもあります。
どんな人がなりやすいの?
真面目で努力家、完璧主義で、「正しいことをしたい」「失敗したくない」という傾向のある人は影響を受けやすいと考えられています。
また、
- SNSやメディアの過剰な健康情報
- 理想的な体型や“健康であるべき”というプレッシャー
- 過去の体調不良や医療体験
- 自尊感情の揺らぎや不安
などが組み合わさることで強まりやすいとされています。
本人自身も「自分は健康のために良いことをしている」と感じているため、問題として自覚されにくい点が特徴です。
どうしたらいいの?
まず、「健康を意識すること自体は良いことだが、“やりすぎると健康を損ねることがある”」と知ることが大切です。
次のような視点で振り返ることが役立ちます。
- 食事のことで強い不安や罪悪感が出ていないか
- 家族や友人との食事や外食がつらくなっていないか
- “安心できる食事”が極端に限られてきていないか
もし生活への負担が大きいと感じたら、一人で抱え込まず、心療内科・精神科やカウンセラーに相談することをおすすめします。
医療では「心身のバランスを整えること」を大切にしながら、考え方と食習慣のバランスを一緒に整えていきます。
家族や学校、周囲の人も「責めない・否定しない」姿勢で寄り添うことが重要です。
まとめ
神経性オルトレキシアは、「健康を大切にする」という一見よい行動が、強い不安やこだわりによって生活や心の自由を奪ってしまう状態です。
本人は「良いことをしている」という思いが強く、苦しさに気づきにくい場合もあります。
しかしこれは意志や性格の問題ではなく、支援の対象になり得る心の問題です。
食事は体を整えるものですが、同時に“心を守る営み”でもあります。
少しでも負担や不安を感じたら、安心して相談できる人や専門家につながることが、回復への確かな一歩になります。
こころの不調
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