妄想
妄想とは、事実とは異なる内容を、強い確信をもって信じ込んでしまう状態を指します。周囲が証拠を示して説明しても、その考えを修正できないことが特徴です。
これは単なる思い込みや勘違いとは異なり、「現実を検討する力」が一時的に低下している状態です。「空を飛べたらいいな」と想像するのは空想であり、自分の意思で行うものです。妄想は自分で選んで考えているのではなく、気づかないうちに確信として生じてしまいます。
特徴
妄想にはさまざまな内容があります。人に監視されていると感じる「注察妄想」、出来事が自分に関係していると確信する「関係妄想」、危害を加えられると思い込む「被害妄想」などが代表的です。
内容が現実に起こり得るものであっても、根拠がないのに揺るがない確信となる点が特徴です。実際には違うと理解しつつも不安が浮かぶ程度は「念慮」と呼ばれ、妄想とは区別されます。妄想は説得や議論だけで変わるものではありません。
どんな人がなりやすいの?
統合失調症でよくみられますが、重いうつ病や双極性障害などの気分障害、認知症、せん妄などでも生じます。強いストレスや睡眠不足が引き金になることもあります。
若い世代では、急に周囲への強い疑いが出てくる、SNSの投稿が自分への攻撃だと感じる、ささいな出来事を深刻に結びつける、といった変化が初期サインとなることがあります。早期発見が重要です。
どうしたらいいの?
妄想は本人の努力不足ではありません。強く否定したり論破しようとすると不信感が強まることがあります。まずは「怖い気持ちがあるのですね」と感情に寄り添い、安全を確保します。
早めに精神科へ相談することが大切です。抗精神病薬などの治療により改善が期待できます。急に攻撃的になる、自傷他害の危険がある場合は緊急受診が必要です。睡眠を整えることも回復を助けます。
まとめ
妄想は、事実と異なる内容を修正できないほど強く確信してしまう状態です。空想や一時的な不安とは異なり、脳の働きの変化によって生じます。
統合失調症をはじめ、さまざまな病気でみられますが、適切な治療により改善が期待できます。本人を責めず、早めに専門家へつなぐことが大切です。適切な支援があれば、回復の可能性は十分にあります。
こころの不調