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愛着障害

目次

愛着障害という言葉は、医学的には主に「反応性愛着障害」と「脱抑制型対人交流症」を指して使われます。いずれも、乳幼児期に安定した養育者との関係を築く機会が著しく制限されたことを背景に現れる、別々の診断です。反応性愛着障害では、つらいときにも養育者へ慰めを求めにくく、慰められても反応が乏しい状態が中心です。一方、脱抑制型対人交流症では、見知らぬ大人への警戒が乏しく、ためらわず近づく行動がみられます。「大人の愛着障害」や不安型・回避型などの愛着スタイルは正式な診断名ではないため、同じものとして扱わないことが大切です。

特徴

反応性愛着障害では、怖い、痛い、悲しいときにも養育者へ近づかない、抱き上げられても落ち着きにくい、日常の関わりで喜びや安心を示す反応が乏しいなどの特徴がみられます。脱抑制型対人交流症の事例では、初対面の大人にためらわず話しかける、抱きつく、養育者を確認せずについて行こうとするといった行動がみられます。ただし、人見知りの強さや人なつっこさだけでは診断できません。対人反応やコミュニケーションの特徴は自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害でもみられるため、乳幼児期からの発達と複数の生活場面を確認します。

どんな人がなりやすいの?

医学的な愛着障害は、慰めや情緒的な関わりといった基本的な欲求が長期間満たされない、主な養育者が何度も変わる、安定した関係を築く機会が極端に少ない環境で生活するなど、著しく不十分な養育を経験した子どもに生じる可能性があります。ただし、親が仕事で忙しかった、強く叱ったことがあるという理由だけで発症するものではなく、同じ環境を経験した子ども全員が発症するわけでもありません。養育者個人を責めるのではなく、家庭の孤立、病気、経済的困難、利用できる支援の不足なども含めて確認し、家族全体を支える視点が必要です。

どうしたらいいの?

子どもが養育者へほとんど助けを求めない、見知らぬ大人について行こうとするなどの行動を繰り返す場合は、小児科、児童精神科、自治体の子ども家庭相談窓口へ相談してください。一般的な支援プログラムの目的は、子どもを無理に懐かせることではなく、安全で安定した生活と、予測できる養育者との関係を整えることです。支援内容には、子どもと養育者の包括的な評価、養育者への助言、親子関係への心理的支援、学校・福祉機関との連携などがあります。注意点として、無理に抱きしめる、押さえつける、「生まれ直し」を行うなどの強制的な愛着療法は危険であり、避けなければなりません。

まとめ

愛着障害は、「親の愛情が足りなかった人」や「恋愛がうまくいかない大人」を広く表す病名ではありません。医学的には乳幼児期に始まる特定の行動と、著しく不十分な養育歴を確認して慎重に診断します。一方、成人が見捨てられる不安、人への過度な依存、親密な関係の回避などに悩んでいる場合も、その苦痛を軽視する必要はありません。成人の支援の目的は、過去だけを原因に決めつけず、現在の症状と生活への影響を整理することです。支援の成功は、困ったときに助けを求められる、安全な相手と適切な距離を保てるなどの変化で確認します。成人の悩みでは、心的外傷後ストレス症(PTSD)境界性パーソナリティ障害(BPD)なども含め、専門家へ相談してください。