予期不安


予期不安とは、「また発作が起きたらどうしよう」「人前で失敗したらどうしよう」など、以前のつらい体験や想像をもとに、これから起こる事態を強く恐れる状態です。危険へ備える自然な不安との境界は明確ではなく、予期不安そのものは病名ではありません。ただし、不安が繰り返され、通学・通勤、電車、外出、発表などを避けて生活に支障が出る場合は、専門的な評価が必要です。特にパニック障害(パニック症)では、発作後の持続的な心配や行動変化が診断上の重要な要素になります。
特徴

予期不安では、予定を考えただけで動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、腹痛、発汗、震えなどが現れることがあります。事例として、以前電車で体調を崩した人が、各駅停車だけを選ぶ、出口付近から離れない、付き添いがなければ外出しないといった行動を取る場合があります。回避や過度な安全確保行動は一時的に安心をもたらしますが、「避けなければ危険だった」という認識を強め、不安を維持することがあります。逃げにくい場所への恐怖が中心なら、広場恐怖症(広場恐怖)も考えます。
どんな人がなりやすいの?

予期不安は、まじめな人や責任感が強い人だけに起こるものではありません。過去のパニック発作、失敗や体調不良の経験、身体感覚への敏感さ、睡眠不足や疲労、苦手な場面を避け続けることなどが重なると、不安が強まりやすくなります。人から悪く評価されることを恐れる社交不安障害(社交不安症)や、幅広い心配が長く続く全般不安症でも予期不安はみられます。性格を原因と決めず、何を恐れ、何を避けているかを整理することが大切です。
どうしたらいいの?

まず1~2週間、不安が強まった場面、頭に浮かんだ予測、身体症状、不安の強さ、避けた行動、その後どうなったかを記録してください。治療プログラムの内容は、予期不安の悪循環を学ぶ心理教育、考え方や行動を見直す認知行動療法、苦手な状況や身体感覚へ段階的に取り組む曝露療法などです。治療の目的は、不安を完全になくしてから行動することではなく、不安があっても必要な活動を選べる経験を増やすことです。強い場面へ突然挑む、薬を自己調整することは避け、医師や心理職と計画を立てましょう。
まとめ

予期不安への対応における成功は、不安を二度と感じなくなることではありません。不安が起きても対処し、通学・通勤、外出、人との交流などを少しずつ取り戻せる状態を目指します。電車に乗れない、授業や仕事を休む、外出に付き添いが欠かせないなどの支障が続く場合は、精神科・心療内科へ相談してください。学生の場合は、保健室、スクールカウンセラー、家族への相談も第一歩になります。初めての強い胸痛、失神、片側の麻痺、激しい呼吸困難がある場合は、不安だけと決めつけず、速やかに身体科を含む医療機関を受診してください。
こころの不調