Ⅰ型/Ⅱ型・混合状態・ラピッドサイクラー


双極症は、躁病エピソードを少なくとも1回認めるⅠ型と、軽躁病エピソードと抑うつエピソードの両方があり、躁病エピソードはないⅡ型に分けられます。Ⅱ型はⅠ型の軽症版ではありません。
一方、混合状態は現在では主に「混合性の特徴」と表現され、急速交代型とともに症状や経過を詳しく示す特定用語です。
診察では双極症(双極性障害)の型だけでなく、現在のエピソードと年間の経過を整理し、適切な治療内容を決めることが必要です。
特徴

Ⅰ型の躁病エピソードでは、睡眠が少なくても活動し続ける、多弁になる、自信が過度に高まる、浪費や危険行動が増えるなど、生活機能が大きく損なわれることがあります。
Ⅱ型の軽躁病エピソードは本人が好調と感じやすく、つらい抑うつ期だけで受診する事例もあります。
混合状態では、抑うつ中に活動性や思考の加速が加わるなど、反対側の症状が混在します。急速交代型の経過を示す人はラピッドサイクラーと呼ばれますが、数時間ごとの気分変化とは異なります。
どんな人がなりやすいの?

双極症は、気分屋、真面目、意志が弱いといった性格が原因で起こるものではありません。遺伝的要因を含む複数の要因が関係し、家族に双極症がいる人や、抑うつを繰り返す人では過去の軽躁・躁状態を丁寧に確認します。睡眠不足、生活リズムの乱れ、飲酒や物質使用は、症状の誘因・増悪要因になり得ます。
また、甲状腺疾患、薬剤、神経疾患などでも似た状態が現れます。現在の気分だけでⅠ型・Ⅱ型を自己判断せず、発症時期、睡眠、活動量、家族が気づいた変化を医師へ伝えましょう。
どうしたらいいの?

受診前に、睡眠時間、気分、活動量、出費、欠席・欠勤、服薬、飲酒を毎日記録し、過去の好調期も時系列でまとめます。治療プログラムの内容は、現在が躁・抑うつ・混合性のどの状態かに応じた薬物療法、心理教育、生活リズムの調整、再発サインの共有です。
治療を成功に近づける注意点は、調子がよくても処方薬を自己判断で中断せず、抗うつ薬も自分で増減・中止しないことです。ほとんど眠らない、浪費や危険行動、幻覚・妄想、激しい焦燥、死にたい気持ちがある場合は、通常の予約を待たず早急に精神科へ相談してください。
まとめ

Ⅰ型とⅡ型は躁病エピソードの有無を中心に区別し、Ⅱ型をⅠ型より軽い病気とは考えません。混合性の特徴と急速交代型は別の病名ではなく、現在の症状や過去1年間の経過を示す重要な情報です。治療の目的は気分を常に一定にすることではなく、再発を減らし、学業・仕事・人間関係を安定させることにあります。
うつ病として治療中でも、少ない睡眠で活動的だった時期があれば医師へ伝えてください。睡眠障害を含め、気分と睡眠の記録を持参すると診断と治療方針の検討に役立ちます。
こころの不調