気分循環症(気分循環性障害)

気分循環症(気分循環性障害)は、軽躁に似た気分の高まりと、うつに似た落ち込みを長期間にわたって繰り返す病気です。双極症に関連する疾患ですが、それぞれの症状は軽躁病エピソードや大うつ病エピソードの診断基準を満たしません。成人では2年以上、子ども・青年では1年以上続くことが期間の目安です。さらに、その期間の半分以上で症状がみられ、安定した期間が一度に2か月を超えないことや、生活への支障も確認します。気分の波だけで自己診断せず、長期的な経過を精神科・心療内科で評価してもらうことが大切です。
特徴

気分循環症では、気分だけでなく、睡眠時間、活動量、話す量、自信、集中力、判断や行動なども変化します。調子が高い時期には、睡眠が少なくても元気に感じ、予定や買い物を増やす一方、低い時期には疲れやすくなり、欠席・欠勤や連絡の先延ばしが増える事例があります。個々の症状は比較的軽くても、不規則な波が続くことで生活が安定しにくくなります。明確な躁・軽躁や大うつ病エピソードがみられる双極症(双極性障害)、抑うつ症状が中心となるうつ病とは、症状の経過も含めた見極めが必要です。
どんな人がなりやすいの?

気分循環症は思春期から若年成人期に始まることが多いものの、年齢や性別にかかわらず起こり得ます。原因は明確に一つへ特定されていませんが、家族に双極症などの気分障害がある場合には、遺伝的ななりやすさが関連すると考えられています。試験、進学、就職、人間関係などのストレスや睡眠不足、飲酒は、直接の原因とは限りませんが、気分の波を大きくする可能性があります。「気分屋」「感情的な性格」と決めつけないことが注意点です。落ち着きのなさや衝動性が以前から続く場合は、発達障害(ADHDなど)との違いも確認します。
どうしたらいいの?

受診前には、毎日の気分、睡眠時間、活動量、出費、飲酒、服薬、学校・仕事への影響を1~2か月ほど記録してください。治療プログラムの内容には、病気や悪化の兆候を学ぶ心理教育、睡眠・食事・活動時間を整える支援、対人関係や気分の波への対処を考える心理療法、必要に応じた薬物療法などがあります。ただし、治療内容は一律ではなく、症状や生活への支障に合わせて個別に決めます。治療成功の目安は感情をなくすことではなく、波を小さくして欠席、衝動買い、対人トラブルなどを減らすことです。処方薬は自己判断で開始・増減・中止しないでください。
まとめ

気分循環症は、一つひとつの症状が軽く見えても、長期的な気分変動によって学業、仕事、人間関係、金銭管理などに支障が生じる病気です。治療の目的は気分を完全に一定にすることではなく、自分の変化を早めに把握し、生活への影響を減らしながら安定した状態を保つことです。睡眠の減少と活動・出費の増加、意欲低下や欠席が繰り返される場合は、記録を持って精神科・心療内科へ相談してください。数日ほとんど眠れない、行動を制御できない、現実と異なる確信や幻聴がある、「消えたい」「死にたい」と感じる場合は、身近な人へ伝え、速やかに医療機関へつながる必要があります。
こころの不調
行動面の不調