酩酊


酩酊とは、飲酒後にアルコールが脳へ作用し、判断力、注意力、記憶、感情、運動機能などが一時的に低下する急性の精神・身体症状です。初めは気分が高揚して口数が増えても、進行すると、ろれつが回らない、まっすぐ歩けない、眠り込む、呼びかけに反応しないなどの変化が現れます。軽い酔いと急性アルコール中毒には明確な境界がありません。診療の目的は、意識・呼吸、飲酒量、服薬、外傷を確認し、酩酊を繰り返す場合はアルコール依存症の可能性も評価することです。
特徴

酩酊が進むと、判断力と抑制が低下し、転倒、交通事故、暴力、性被害などの危険が高まります。事例として、飲酒中は会話や移動をしていたのに、翌日その時間の出来事を思い出せないブラックアウトがあります。これは記憶が作られにくくなった状態であり、眠ることや意識を失うこととは異なります。複雑酩酊・病的酩酊という分類もありますが、少量の飲酒、暴言、記憶欠落だけでは判断できません。頭部外傷、低血糖、薬物の影響なども含めた評価が必要です。
どんな人がなりやすいの?

酩酊の強さは性格ではなく、飲酒量、飲む速さ、年齢、体格、体質、食事、体調、服薬などに左右されます。短時間の大量飲酒や一気飲み、空腹時の飲酒では、血中アルコール濃度が急上昇しやすくなります。若者、高齢者、少量で顔が赤くなる人、睡眠薬・抗不安薬などを服用している人は特に注意が必要です。以前より多く飲まないと酔わなくなる耐性が生じても、急性中毒や臓器障害から守られるわけではなく、飲酒量が増えていないか確認が必要です。
どうしたらいいの?

酔いつぶれた人は一人にせず、衣服を緩めて保温し、吐物による窒息を防ぐため横向きに寝かせます。呼びかけても反応しない、呼吸が遅い・不規則、大いびきをかいて揺すっても起きない、けいれん、繰り返す嘔吐、唇が青い、体が冷たい場合は、直ちに119番へ連絡してください。無理に吐かせる、飲み物を与える、歩かせる、冷水を浴びせることは避けます。再発予防プログラムの内容は、飲酒状況と服薬の確認、危険な飲み方の見直し、必要に応じた依存症治療です。
まとめ

酩酊は軽い気分の高揚から、昏睡や呼吸抑制に至るまで連続する状態です。治療と対応の目的は、「寝かせれば治る」と判断せず、意識障害、窒息、外傷、薬との併用などの危険を見逃さないことです。対応を成功に近づける注意点は、飲酒量だけで安全性を判断せず、本人の反応と呼吸を確認することです。ブラックアウトを繰り返す、飲み始めると止められない、学業や仕事へ影響する場合は専門機関へ相談しましょう。大量飲酒が続いている人は、アルコール離脱症状に備え、断酒前に医師へ相談してください。
行動面の不調