心気症(心気障害/病気不安症)


心気症(心気障害/病気不安症)とは、自分が重大な病気にかかっている、または今後発症するのではないかという不安に強くとらわれる状態です。
DSM-5-TRでは、身体症状がないか軽い場合を主に「病気不安症」とし、身体症状への過度な不安や行動が中心の場合は「身体症状症」として整理しています。一方、ICD-11では「心気症」という名称が使われています。
病気不安症では、検査で重大な異常がないと説明されても見落としを心配し、不安が原則6か月以上続くことがあります。ただし、実際の身体疾患がないと決めつける診断ではありません。
身体症状の程度や不安の中心を確認し、身体症状症(身体表現性障害)などとの違いを総合的に判断します。
特徴

病気不安症では、体の小さな変化を重大な病気の兆候と受け取り、身体の確認、症状検索、家族や医師への質問を繰り返すことがあります。例えば、軽い頭痛を脳の病気と考え、インターネットで調べたり、複数の医療機関を受診したりする事例です。反対に、重い診断を告げられることを恐れ、受診や健康診断を避ける人もいます。
確認や回避によって一時的に不安が下がっても、別の違和感に気づくと再び心配になり、「不安、確認・回避、一時的な安心、再び不安」という循環が続きます。病気への恐怖以外にも強迫観念や反復行動がみられる場合は、強迫性障害との違いや併存についても評価します。
どんな人がなりやすいの?

病気不安症は、性格の弱さや「考えすぎ」だけで起こるものではなく、特定の性格を持つ人だけが発症する病気でもありません。原因は一つに決められず、身体感覚への注意が強まりやすいこと、不安を感じやすい傾向、自分や家族が病気を経験したこと、身近な人の死、生活上のストレスなどが複合的に関係する場合があります。進学、就職、人間関係の変化などで不安が高まった時期に、健康への心配が目立つこともあります。
病気だけでなく学業、仕事、家族など複数のことを長期間心配している場合は不安症(不安障害)、気分の落ち込みや意欲低下を伴う場合はうつ病も含めて確認します。
どうしたらいいの?

新しい身体症状やこれまでと異なる変化がある場合は、最初から「心の問題」と判断せず、症状に応じた診療科で必要な医学的評価を受けます。その後も病気への不安が続き、検索や確認に多くの時間を使う、学校や仕事を休む、外出や運動を避けるなどの支障があれば、心療内科や精神科へ相談してください。
受診時は、心配している病気、症状の経過、受けた検査、検索・確認の頻度、避けている行動をメモすると診察に役立ちます。
治療内容には、身体感覚の受け止め方や確認行動を整理する認知行動療法があります。症状や併存疾患に応じて薬物療法を検討する場合もあります。注意点は、薬を自己判断で中断せず、必要な検査と再診の目安を担当医と共有することです。
まとめ

病気不安症は、単なる思い込みではなく、重大な病気への不安と確認・回避行動によって日常生活が圧迫される状態です。
治療の目的は、将来病気にならないという100%の保証を得ることではありません。不確かさが残っていても、検索や確認に振り回されず、学業、仕事、人間関係、外出などの生活を取り戻すことを目指します。治療の成功も、不安が完全に消えたかだけで判断しません。検索時間が短くなった、同じ質問や受診を繰り返さなくなった、予定していた活動に参加できたといった具体的な変化を確認します。
身体の変化を無視する必要はありません。必要な診察を受けても不安が続き、日常生活に影響している場合は、一人で判断を繰り返さず、渋谷365メンタルクリニックへご相談ください。
からだの不調