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コタール症候群

目次

コタール症候群とは、自分や身体、臓器、生命、さらには世界の存在を否定する「虚無妄想」を中心とした、まれな症候群です。「自分は死んでいる」だけでなく、「内臓がなくなった」「自分は存在しない」「永遠に死ぬことができない」と確信する場合もあります。独立した正式診断名ではなく、重い精神疾患や神経疾患に伴って現れる状態です。

診察では妄想の内容だけでなく、食事・水分、自傷の危険、身体状態を確認し、背景にあるうつ病などの治療へつなげる目的があります。

特徴

コタール症候群の考えは、比喩や想像ではなく、本人には現実の出来事として感じられます。事例として、「死んでいるから食べる必要がない」と食事や水分を拒む、「臓器が腐ってなくなった」と考えて服薬や受診を避けるケースがあります。「自分の罪で世界がなくなった」という場合は、虚無妄想に罪業妄想が加わっている可能性があります。

低栄養、脱水、衛生状態の悪化、自傷・自殺だけでなく、ほとんど動かない、話さないなどの緊張病にも注意が必要です。

どんな人がなりやすいの?

コタール症候群は、悲観的、心配性、孤独を感じやすいといった性格だけで起こるものではありません。妄想を伴う重いうつ状態で報告されることが多いものの、双極症(双極性障害)の抑うつ期や統合失調症などでも現れます。また、認知症、てんかん、脳血管障害、脳炎、脳腫瘍などが背景となる場合もあります。

特に急に発症した事例では、年齢だけで判断せず、発熱、意識の混乱、けいれん、麻痺、薬の変更などを確認し、身体・神経学的な評価を受けることが重要です。

どうしたらいいの?

本人へ「そんなことはあり得ない」と繰り返し反論したり、反対に妄想の内容へ同意したりせず、「そこまで強く感じていて、とても苦しいのですね」と苦痛を受け止めます。治療プログラムの内容は、安全確保、栄養・水分と身体状態の管理、背景疾患に応じた薬物療法などです。

重症うつ病、緊張病、生命に関わる食事拒否などでは、入院や修正型電気けいれん療法が検討される場合もあります。治療を安全に進めるための注意点は、本人を一人にせず、話した内容や摂取量、服薬、反応の変化を記録して早急に医療へつなぐことです。

まとめ

コタール症候群は、単なる悲観や気分の落ち込みではなく、自分や身体などの存在を現実として否定する妄想を伴う重い状態です。

治療の目的は、説得によって妄想を変えることではなく、生命を守り、背景にあるうつ病、双極症、統合失調症、身体・神経疾患を見極めて治療することです。

水分・食事を拒む、自傷する、具体的な自殺方法を考えている、動かない・話さない、急に意識が乱れた場合は、通常の予約を待たず救急医療へ相談してください。外来で安全を確保できない場合は、入院設備のある医療機関での対応が必要です。