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貧困妄想

目次

貧困妄想とは、実際の収入・預金・支払い状況に比べて、「お金が完全になくなった」「家族を破産させる」と強く確信し、説明や資料を示されても容易には考えが変わらない症状です。単なる節約や将来への心配とは異なり、食事や受診など必要な支出まで控え、生活や健康に支障が及ぶことがあります。

独立した病名ではなく、重いうつ状態でみられる微小妄想の一つです。家計の事実を確認するとともに、背景疾患と安全上の問題を早期に見つけることが必要です。

特徴

貧困妄想では、預金や収入があっても「家賃を払えない」「食べれば家族が生活できなくなる」と確信し、食事、冷暖房、通院、薬などに必要なお金まで使えなくなることがあります。通帳を何度確認しても安心できず、家族へ残高を繰り返し尋ねる場合もあります。現実的な経済不安との区別では、実際の収支、確信の強さ、説明による修正の難しさ、生活への影響を確認します。

自分が家族を不幸にしたと考える罪業妄想や、重病だと確信する心気妄想を伴うこともあります。

どんな人がなりやすいの?

貧困妄想は、真面目さや責任感の強さ、お金への執着だけで起こるものではありません。特に妄想を伴う重いうつ病でみられますが、双極症(双極性障害)の抑うつ期などでも現れる可能性があります。たとえば、十分な預金がある人が「もう一円も使えない」と考え、食事や治療を拒む事例です。

高齢者に急に症状が現れた場合は、認知症、せん妄、身体疾患、薬剤の影響も確認します。

性格や一時的なストレスだけで自己判断しないことが重要です。

どうしたらいいの?

家族は「お金はある」と繰り返し論破したり、反対に「本当に破産する」と同意したりせず、「生活できないと感じるほど不安なのですね」と苦痛を受け止め、早めに精神科へつなげます。

受診時には、症状の開始時期、睡眠・食欲、体重変化、服薬、実際の収支、幻聴、過去の躁状態、食事や支払いへの影響を伝えましょう。

治療プログラムの内容は背景疾患と重症度により異なり、薬物療法、休養、環境調整、入院、修正型電気けいれん療法などを検討します。服薬中断や財産処分を自己判断で進めないことが注意点です。

まとめ

貧困妄想の改善を成功に近づけるには、金銭の説明で本人を納得させることを目標にせず、背景疾患を治療し、食事、水分、住居、服薬、財産の安全を守ることが重要です。

家族は本人の財産を一方的に取り上げず、必要な支援方法を医療者や福祉職と相談してください。

食事・水分や必要な治療を拒む、急に多額の送金や解約をしようとする、強い混乱がある場合は早急な受診が必要です。死にたい気持ちや具体的な自殺計画がある場合は本人を一人にせず、救急受診や119番を含む緊急対応を優先してください。