微小妄想


微小妄想とは、自分の健康、道徳的価値、経済状況などを現実以上に低く、または破綻していると確信する妄想をまとめた伝統的な呼び方です。独立した病名ではなく、特に妄想を伴う重いうつ病でみられる症状群を指します。
周囲が資料や事実を示しても考えが修正されにくく、本人には現実として感じられます。背景疾患、重症度、自殺や生活上の危険を確認し、必要な治療へつなげることが必要です。単に自己評価が低いだけでは、妄想とはいえません。
特徴

代表的な内容には、生活できないほどお金がないと確信する貧困妄想、重大な病気だと信じる心気妄想、取り返せない罪を犯したと思い込む罪業妄想があります。実際に借金、体調不良、失敗があっても生じるため、事実の有無だけでは区別できません。
確信が状況に比べて著しく強い、説明で修正されない、食事・受診・通学などが損なわれる点が、通常の心配や罪悪感との違いです。確認や節約を繰り返し、周囲への不信が強まる場合もあります。
どんな人がなりやすいの?

微小妄想は、真面目さや責任感の強さだけで起こるものではありません。妄想を伴う重いうつ状態で代表的にみられますが、双極症(双極性障害)の抑うつ期などでも現れる可能性があります。
高齢になって初めて妄想が出た場合や、症状が急に始まり時間帯で変動する場合は、認知症、せん妄、身体疾患、薬剤の影響も確認します。性格や一時的なストレスだけで判断せず、症状の始まり方と全身状態を含めた評価が必要です。
若い人の極端な自責も、思春期の悩みと決めつけないことが大切です。
どうしたらいいの?

家族や周囲は「事実ではない」と論破したり、反対に妄想へ同意したりせず、「それほど不安で苦しいのですね」と苦痛を受け止め、早めに精神科へつなげます。
受診時には、症状の開始時期、睡眠・食欲、活動性、希死念慮、幻覚、過去の躁・軽躁状態、服薬、実際の家計や身体状況を伝えましょう。
治療プログラムは背景疾患と重症度に応じ、薬物療法、環境調整、入院、修正型電気けいれん療法などから選びます。服薬中断や財産処分を自己判断で進めないことが注意点です。
まとめ

改善を成功に近づける目標は、無理に前向きに考えさせることではなく、妄想による苦痛を軽減し、食事、水分、服薬、睡眠、通学・勤務などの安全な生活を取り戻すことです。適切な治療で改善は期待できますが、経過や再発リスクには個人差があります。
食事・水分や必要な治療を拒む、多額の送金や解約を急ぐ、強い混乱がある、死にたい気持ちに具体的な方法や計画がある場合は、通常の予約を待たず救急受診を検討し、差し迫った危険では119番を利用してください。
こころの不調