皮膚むしり症


皮膚むしり症は、皮膚を繰り返しむしる、引っかく、つまむなどして傷ができ、減らそうとしても続いてしまう病気です。皮膚むしり障害、スキンピッキング症とも呼ばれ、強迫症および関連症群に分類されます。
診断では、皮膚病変が生じていること、やめる試みを繰り返していること、苦痛や学業・仕事・対人関係への支障があることを確認します。単に一度かさぶたをはがしただけでは診断されません。皮膚疾患や薬物の影響、外見へのとらわれ、傷つけること自体を目的とする自傷などで説明できないかも評価します。
関連する病気として、強迫症もご覧ください。
特徴

皮膚むしり症には、鏡で毛穴や傷を探して意識的に触る場合と、勉強や動画視聴中に気づかないまま手が動く場合があります。事例として、ニキビを平らにしようと押し続け、出血後もかさぶたを繰り返しはがすケースが挙げられます。行動の前に緊張や違和感が高まり、直後に落ち着く人もいますが、すべての人に当てはまる特徴ではありません。傷の凹凸が新たな刺激となり、再び触る悪循環が生じることもあります。
毛を繰り返し抜くトリコチロマニア(抜毛症)と同じく、身体集中反復行動の一つとして捉えられます。
どんな人がなりやすいの?

皮膚むしり症は、意志が弱い人や、まじめ・完璧主義といった特定の性格の人だけに起こるものではありません。原因は一つに特定されておらず、不安や緊張だけでなく、退屈、集中している時間、皮膚のざらつき、ニキビや湿疹などがきっかけになる場合があります。むしった直後の安心感や、凹凸が取れた感覚によって行動が繰り返されやすくなることもあります。
外見の欠点を直すことへの強いとらわれが中心なら、醜形恐怖症(身体醜形症)との区別が必要です。不安症やうつ病などが併存していないかも診察で確認します。
どうしたらいいの?

傷が治らない、赤み・腫れ・膿・強い痛み・発熱がある場合は、皮膚科で感染や皮膚疾患を確認してください。むしる行動を減らせず、学業や仕事に集中できない、傷を隠して外出を避ける場合は、心療内科や精神科にも相談します。
受診前には、むしった時間、部位、直前の状況を短く記録すると役立ちます。行動療法のプログラムでは、行動への気づきを高め、むしる動作と両立しない競合反応を練習し、必要に応じて器具や鏡などの刺激も調整します。薬物療法は根拠が限られるため個別に検討します。注意点は、皮膚を長時間観察する記録や突然の全面禁止で負担を増やさないことです。
まとめ

皮膚むしり症は、単なる癖や意志の弱さではなく、やめようとしても皮膚をむしる行動が続き、傷や生活上の支障が生じる病気です。
治療の目的は、最初から一度も皮膚に触れない状態を求めることではありません。衝動やきっかけに早く気づき、むしる回数や時間を減らし、皮膚と日常生活を回復させることを目指します。治療の成功は、傷が減った、器具を使わなくなった、別の行動へ切り替えられた、外出や人との交流を再開できたといった具体的な変化で確認します。
一人で何度もやめようとしてもうまくいかない場合は、自分を責めず、皮膚科や心療内科・精神科へ相談してください。
からだの不調